Singapore研修旅行

専門ゼミナール(1999年度)



 1999年度の3年次生の専門ゼミナールでは、2000年2月29日から3月4日3泊5日の日程でシンガポールへ研修旅行に出かけました。

研修旅行の目的
ヒンドゥー教寺院にて 今野ゼミナールとしては初めての海外研修です。すでに学生諸君の海外旅行の機会は以前にくらべてはるかに多く、観光旅行が目的であれば、わざわざゼミナールで行く必要はないと、私は考えていたからです。
 ところが、今回はゼミのOBで、在シンガポールJVC ASIA LOGISTICS CENTRE 勤務の井上貴之さんからのお誘いもあり、アジアの物流拠点になりつつあるシンガポールで、国際物流の現場を見学することになりました。同社の新たな物流管理システムを見学させていただき、さらに広大なシンガポールの港湾施設の見学も準備してくださいました。もちろん、観光やショッピング、そして食べ歩きも忘れませんでしたが、おかげさまでたいへん実り多い研修旅行になりました。 JVCの皆様、ありがとうございました。

JVC ASIA LOGISTICS CENTREの見学
JVC ASIA LOGISTICS CENTRE シンガポールの西部、Tuas にある JVC ASIA LOGISTICS CENTRE は日本ビクターの世界に向けた物流拠点のひとつです。すぐ近くにはマレーシアへつながる第二の橋 Tuas Bridge があります。
 昨年の夏からここに勤務するようになられた我ゼミOBの井上貴之さんのご高配で、同センターを見学させていただきました。
 センター長の吉瀬様から同センターの設立から現況についてレクチャーしていただいたあと、井上先輩の案内で施設内を見学させていただきました。その一部をご紹介しましょう。

 ここは、4層からなる広大な倉庫です。この倉庫ではバーコード・システムにより、受入から出荷までが管理されています。
 1階部分で行われている部品の受入検査、仕分、梱包等の作業は多くの人手を介して行われています。これと対照的だったのは、完成品の流れとその管理です。まず驚いたのは、大量のラジカセやVTR、その他千数百種類にもおよぶ膨大な商品群が積み上げられている光景です。しかしそれだけではありません。この2〜4階部分では、それぞれたった1台のフォークリフトによって商品の出入れをしています。シンガポール政府は、進出企業に対しては将来を見越した設備投資を行うように厳しく要求するということですが、あえて同社は自走式棚などを導入せず、現在のシステムをつくりあげ、それが結局は順調な稼動をもたらしているとのことです。

JVC ASIA LOGISTICS CENTRE 井上OB さらにもうひとつ驚いたことには、同じ製品が倉庫の中のあちらこちらに積まれています。しかもビデオの隣にテレビ、その隣にはコンポが、そしてまたビデオと、いろいろな種類の製品が互いに混在して無規則に配置され、積み上げられているのです。同じ製品が別の階にもあります。商品は一個ごとと同時に、パレットごとにバーコード・システムで管理されており、その積載場所も同時に記録されているのです。そのため、製品毎に纏めて置く必要はなく、空間の有効利用がおこなえるということです。もちろん、First In First Out(先入れ先出し)となるようにシステム化されているそうです。私達はここで製造企業の国際ロジスティクスの現場を目の当たりにすることができました。
社員食堂でマレー料理の昼食 さて、「昼食はぜひ社員食堂で」という井上先輩の企画にしたがい、見学の後はローカルの社員の人たちと一緒に昼食をとりました。中華料理も選べますが、珍しさも手伝って皆マレー料理をいただきました。しかし、半分食べるのが精一杯。辛さとその味はまったく私達の味覚には合いませんでした。
 だから、ニヤリとしながら「まずいですけれど・・・・」といっていた井上さんの言葉は正真正銘、ほんとうに嘘はなかったようです。よく言われることですが、確かに辛さと気候風土との関係は深いようです。あまりの辛さのために、食後しばらくの間はすっかり暑さを忘れてしまったほどでした。

シンガポール港湾施設の見学PSA 港湾全体模型

 昼食後はJVC ASIA LOGISTICS CENTRE をあとにして、井上さんに手配していただいた PSA (Port of Singapore Authority)の港湾施設ツアーです。現在、アジアの物流のトップを香港と競っているシンガポールの港湾施設を見学するものです。PSAは港湾施設を管理運営する公企業ですが、観光地のセントーサ島やこれに通じるマウント・フェーバーのケーブルカーも運営しています。PSAのガイドさんたちの派手なアロハ調のシャツがその事を示していました。
PSA 施設見学 なんといっても、シンガポール港の規模の大きさに圧倒されました。4つのコンテナターミナルを擁していますが、これらはすべてコンピュータで管理されています。自走式のコンテナ・クレーンが40フィートのコンテナーを釣り下げて、かなりのスピードで運んで行く光景はまさに圧巻です。岸壁からコンテナ船の上に伸びた複数のクレーンが、トラックから、あるいはトラックへと積み卸し作業を行っています。
 ターミナルに出入りするトラックは、分単位で管理されており、ターミナルのゲートにあるデジタル時計の時刻にしたがって進入します。これらのトラックはゲートの出入りと積み卸しの時以外は常に走行しているといえます。ターミナル内での荷待ち駐車などはありません。
 シンガポール港は、世界最速の平均約90個/時のコンテナ積卸能力をもつ港であり、95年7月には229個/時の記録をつくったことがあるとのことです。約400の航路で世界の600港を結ぶこの港では、21世紀にむけて現在も拡張工事が進められています。まもなく香港を抜いてアジアのハブ港としてトップにたつであろうと強く感じました。
昔ながらのシンガポ−ルの港の光景 ところで、近代的な港湾施設のなかに、古い保税倉庫とともに、昔ながらのシンガポールの港の姿が残っていました。全世界に向けたコンテナによる大規模な物流とはまさに好対照です。ここはシンガポール港の発祥の地ともいうべきところ。今でもシンガポールの人達の日用品や食料品を対岸のインドネシアやマレーシア、あるいは中国などから輸送してきている Banboo boat の荷あげの光景です。昔と違っているのは積卸しにクレーン車を使っていることぐらいだそうで、まさに昔から変わらぬ風景だそうです。近代的な施設を誇るシンガポールの巨大な港湾施設の一部に残るこの姿に、ふっと「アジア」を感じて、なぜかホッとしました。

 このほか、今回の研修旅行では、ジョホール水道を越えて、ジョホールバルへも足をのばしました。この地は日本の若者の間ではなぜか最近とても有名です。しかし、私達よりさらにもう一世代上の日本人には別の響きをもって伝わってくる地名でしょう。
 わずか2時間ほどの滞在で、しかも王宮博物館は休館、また民家の見学とはいいながら実はピュータ製品の土産物屋がその実体とあっては若干鼻白みましたが、それでも入管の施設にも象徴されるように、シンガポールとマレーシア両国の格差を肌で感じることができました。たしかにガイドさんがいうように、パスポートの入出国印も増やせる短時間の小さなおまけの旅でしたが、それなりに意味のある1日になりました。

井上OBご夫妻と

 ところで、この日の昼食がまたあのマレー料理になってしまったことには一同ショックを受けましたが、こんどは日本人向けに調理してあったので、まずまずおいしくいただくことができました。これも今回のこぼれ話のひとつです。


 この研修旅行は、有意義にしかも楽しく、しかも事故もなく多くの体験をすることができました。これもいろいろとお世話いただいたOBの井上さんやJVCの皆さまのお蔭だと思います。出発前にも社史をお送りいただくなど大変なご厚意をいただきました。心から感謝申しあげます。機会があれば、ぜひ再訪させていただきたいと思いました。

サルタンモスクからジョホール水道を越えシンガポールを望む   2000.4.1.作成

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